連休中は女子みたく。


毎日教室内に響きわたる、女子生徒の笑い声。
何で笑ってんだろとか、話の内容が気になるとか、思ったことなんて
俺はさらさらない。

ましてや、楽しそうにはしゃいでいる光景を、羨ましいとかそういう目で見たことなんて考えたこともなかった。

...........だけど、

「どーした、くすけん?」
「さっきから、顔がにやにやしてんな?」

俺と大ちゃんの目線は、目の前にいるくすけんへと向けられていた。
休み時間になるたびに、くすけんが顔をにやつかせながら、俺たちと話しにくる。
いや、本人はにやけてるつもりなんてないんだと思うけど、どうみても俺らからはにやけてるようにしか見えない。

「ん、いやあ.....」

と、何か言いかけて黙り込んだくすけんを見ていた俺たちは、よくわからなくてお互い顔を見合わせた。

「なんだよくすけんー、にやけてないで教えろって!」

大ちゃんが身を乗り出すようにして、くすけんに話しかける。

「にやけてねぇよ!.........いや、なんか楽しそうだなって」

その視線の先には、笑い合いながら話してる女子生徒。

「え、何、スキな人でも?」

俺も大ちゃんの後に続いて身を乗り出して聞き入る。
その言葉にくすけんはぶっと吹き出して笑いながら両手を左右に振る。

「ち、ちがうちがうっ!」
「へえー、じゃあなんで?」
「何、亮ちゃんヤキモチ?可愛い奴ー」
「なっ、んなわけねぇだろ!」
「ケンカすんなよなーっ」

誰が見ても今の会話は、くすけんに対しての会話だったのに、自分のこととかわからないみたいで、笑いながらもめ合いを止めに入る。

「わかったわかった、で、結局何?」
「あっ、いや、それが.....なんか、ああゆうのいいなって...」

ああゆうのって?
どうゆうの?←
って、まさか....

「は?何、おまっ女装の趣味が!?」
「ちがっ!違うし、でかい声で言うもんじゃないって!」

周りの目を気にしながら、必死に否定するくすけんに俺は軽く謝ると、大ちゃんが話を戻した。

「女装とかじゃなくてさ、なんかこう.........女子がして男子がしなさそうなこと、とかさ!」
「うん」
「だから?」

なんとなく答えはわかっていたけど、俺らは意地悪そうな顔でわざと言わせようとしていた。

「だからさっ、俺たちもそういうのやってみたいなって!」

.......10秒の沈黙.......

「女子がすることって何??プリクラくらいしかなくね?」

沈黙を破ったのは、俺の隣で薄ら笑いを浮かべている大ちゃん。

「それもだけどっ、そういうのをやりたいって!どう?」

にこにこ微笑みながら俺らの返答を待つくすけんに、ただ俺は頷くことしかできなかった。
大ちゃんもまた、同様だったみたいで少し顔をひきつらせながら無言で頷く。

「じゃあさ、今度連休あるからその日に3人で遊ばない?」

連休....あーそういやあったな、今週末に。
何するのか不明だけど、

...........ま、くすけんといれるならいっか。

「俺はいいぜ、大ちゃんは?」
「当然」

俺の問いかけに、大ちゃんは即答した。

「んーじゃあ、何するかはまた追って連絡するからっ」
「おうっ」
「わかったー」

俺たちはその会話を最後に、週末を迎える.........

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